東京都「中小企業の賃金退職金事情」<4>
モデル退職金とは「課長」や「部長」になった人の退職金のこと
社長 それにしても、退職金の相場って、案外高いのですね。
北見 いいえ、驚かないでください。今のはあくまでも「モデル退職金」です。実際に支給されている退職金の相場ではありません。
社長 といいますと?
北見 社長は「モデル賃金」という言葉をご存じですか?
社長 さあ?
北見 それは東京都の「中小企業の賃金退職金事情」の中で次のように解説されています。
モデル賃金とは、学校を卒業してすぐに入社した者が普通の能力と成績で勤務した場合に、当該企業の賃金規定及び昇給事情のもとで、通勤手当を除く所定時間内賃金の固定部分が、勤続年数に応じてどのように上昇するかを算出したものをいう。本調査では、モデル条件に合致する者がいない場合には、賃金規定や給与表などによってモデル条件に最も近い者を参考に、モデル年齢の者がいると想定して回答を求めた。
社長 「普通の能力と成績」???
北見 この前提条件が一番の問題です。一般的に賃金の管理の世界では、「モデル賃金」といえば、次のような意味になります。某県の経営者協会の説明をココに載せましょう。
「モデル賃金は、年齢・勤続年数別の実在者の平均賃金を調査したものではなく、あくまでも"標準的に昇進・昇格した者"の個別賃金を調べたものである。"標準的に昇進・昇格した者"の平均像は、高卒男性の場合、35歳で主任、40歳で係長、45歳で課長、55歳で部長となる。大卒男性の場合、30歳で主任、35歳で係長、40歳で課長、50歳で部長となる」
「モデル賃金調査では、『理論モデル』か『実在者モデル』かが問題となる。『理論モデル』とは自社の賃金表や賃金規程に基づいて計算した額である。『実在者モデル』とは社員の中からモデル条件に合致した実在者を抽出して、値を求めたものである。中小企業の場合は、理論モデルを算出できない場合が多いので、実際には実在者モデルが使われることが多い」
社長 なんか、難しそうな理屈ですね。
北見 要するに、モデル退職金とは「高卒から定年までひとつの会社で勤め上げ、課長クラスまで昇進した幹部がもらう退職金」という意味です。
社長 つまり、一定の選ばれた人の退職金という意味ですね?
北見 でも、中小企業ではそんな人ほとんどいないでしょう。