ズバリ!実在退職金 トップ> 退職金の制度 Q&A 相談コーナー> 失敗事例 2

退職金の制度 Q&A 相談コーナー

【失敗事例 2】
ポイント制の退職金の制度を導入したが運用できなかった

社長 困った問題が起きました。退職金の額がいくらなのか、わからなくなったのです。

北見 どういう意味ですか?

社長 当社は退職金の制度を3年前に改定しました。従来は「退職時の基本給×勤務年数別の乗率=退職金」だったのですが、それをポイント制の退職金に変更したのです。

北見 ポイント制の退職金?

社長 ポイント制の退職金って、ご存じないですか?

北見 あるもないも、大ありです。

社長 何がですか? 

北見 相談が、です。ポイント制の退職金を導入して数年経ちましたが、それ以降の運用ができていないので、退職金の額が決まらなくなってしまった、という相談です。マタカという感じです。資料を見せて下さい。

社長 これが退職金のコンサルタントに作ってもらった資料です。

ポイント制退職金制度は在職中の貢献度をシステマティックに退職金に反映をさせる退職金制度で、多くの場合、以下の算式で退職金が計算されます。
<ポイント制退職金制度事例>
この制度は若干複雑であることから、簡単な例をあげて解説します。ポイント制退職金制度は通常、勤続年数に対応する「勤続ポイント」と社内の資格制度と連動する「資格ポイント」の2つを設定し、その累積ポイントに一定の単価をかけて退職金支給額を計算します。

1) 勤続ポイント
勤続年数1年あたり
◇勤続 3年以上20年未満 ○ポイント
◇勤続 20年以上42年以下 ○ポイント

2) 資格ポイント
在職年数1年あたり
◇5等級 ○ポイント
◇4等級 ○ポイント
◇3等級 ○ポイント

<この制度のメリット>
在職中の貢献度をシステマティックに退職金に反映させることができる。そのため近年の能力主義/成果主義の発想に馴染みやすく、90年代以降、導入事例も多い。
個人毎に常に退職金がいくら貯まっているのか一目瞭然で、またどのようにすれば退職金が増加するのかが分かるため、社員の動機付けに活用しやすい。

北見 それで実際に導入してみて、どうだったのですか?

社長 まず困ったのは、この「資格制度」です。退職金のコンサルタントは、職能資格制度と題した資料を置いていったのですが、その内容は抽象的で、具体性がないのです。だから運用の仕方がわかりません。

北見 貴社は昇格や降格を定期的に行っているのですか?

社長 人事異動なら毎年行っています。何ですか、その昇格とか降格というのは?

北見 職能資格制度のことです。部長とか課長になることを「昇進」といいます。1等級から2等級に上がることを「昇格」といいます。

社長 そんなことはできていません。だいたい、うちのような中小企業で、そんな面倒なことできそうもありません。

北見 それでポイント制の退職金を導入した後はどうなっているのですか?

社長 何しろ3年前にポイント制の退職金を導入しましたが、それ以降何もやっていません。それっきりです。

北見 ということは、社員の等級はどうなっていますか?

社長 総務部長も変わったので、誰もわかりません。

北見 困りましたね。どうされますか?

社長 何しろ、これではいけないので昔の規程にいったん戻ろうかと思います。基本給で決まる退職金の制度です。その方がわかりやすかったですから。

北見 だから、等級によってポイントが付与されるポイント方式は、実際には使いにくいと申し上げたのです。数字の管理ができるのか、履歴をちゃんととっておけるのかという問題だって起こりえます。


>>次のページへ  ポイント制の退職金の記録が紛失・・・
>>前のページへ