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退職金の制度 Q&A 相談コーナー

【失敗事例 5】
退職金の規程を変更したが、曖昧な内容でトラブルが生じる


社長 困った問題が起きました。退職金の額がいくらなのかという点で、見解の相違があり、社員から疑惑を持たれています。

北見 どういう意味ですか?

社長 当社の退職金の規程は「退職時の基本給×勤務年数別の乗率=退職金」という簡単な算出方法でした。それを5年前にポイント制の退職金に変更したのです。

北見 ポイント制の退職金?

社長 ポイント制の退職金って、ご存じないですか?

北見 あるもないも、大ありです。

社長 何がですか? 

北見 相談が、です。ポイント制の退職金を導入して数年経ちましたが、その時に新規程への移行を細かく定めなかったので、退職金をどう計算すれば良いのかわからなくなった、という相談です。マタカという感じです。資料を見せて下さい。

社長 これが退職金のコンサルタントに作ってもらった資料です。

ポイント制退職金制度は在職中の貢献度をシステマティックに退職金に反映をさせる退職金制度で、多くの場合、以下の算式で退職金が計算されます。

<ポイント制退職金制度事例>
この制度は若干複雑であることから、簡単な例をあげて解説します。ポイント制退職金制度は通常、勤続年数に対応する「勤続ポイント」と社内の資格制度と連動する「資格ポイント」の2つを設定し、その累積ポイントに一定の単価をかけて退職金支給額を計算します。

1)勤続ポイント
勤続年数1年あたり
◇勤続 3年以上20年未満 ○ポイント
◇勤続 20年以上42年以下 ○ポイント

2)資格ポイント
在職年数1年あたり
◇5等級 ○ポイント
◇4等級 ○ポイント
◇3等級 ○ポイント

<この制度のメリット>
在職中の貢献度をシステマティックに退職金に反映させることができる。そのため近年の能力主義/成果主義の発想に馴染みやすく、90年代以降、導入事例も多い。
個人毎に常に退職金がいくら貯まっているのか一目瞭然で、またどのようにすれば退職金が増加するのかが分かるため、社員の動機付けに活用しやすい。

北見 それで実際に導入してみて、どうだったのですか?

社長 導入した時は、わかったような気がしました。ところが先月、社員のAさんが定年で辞めた際に混乱しました。その際は、まず社長の私と総務部長との間で見解の相違が起きました。

 社長の言い分=旧退職金規程は廃止したのだから、仮に新退職金規程が昔からあったという前提で、退職金を算出する。

 総務部長の言い分=旧退職金規程に基づく既得権はあるはず。その金額をまず確定するべきだ。そして新規程の施行後の勤務年数に対しては、新規程による退職金を支給するべきだ。

北見 うーん、なるほど、両者にも言い分がありそうですね。それで結局どうされたのですか?

社長 新しい退職金の規程は、既得権との調整について、何の定めもないのです。だから仕方がないので、総務部長案で通しました。

北見 それならそれで良いのでは?

社長 ところが今度は社員のAさんからのクレームです。「新しい退職金の規程に異議あり」というのです。Aさんによれば「新しい退職金の規程に移行する際の説明会で、以後5年間は既得権を保障する」と会社がいったというのです。

北見 ?

社長 新しい退職金の規程は、ちょうど5年前にできました。そこでAさんは次のように主張しています。

「新しい退職金の規程に移行したといっても、5年間の猶予期間があり、不利益にならないように既得権を保障すると会社は言った。だから新と旧との退職金を比較して高い方を払うべきだ」

北見 そんなことが退職金の規程に入っているのですか?

社長 いいえ、だから真相は誰にも不明です。


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