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退職金の社外準備 これだけある問題点

特定退職金共済の問題点 <1>

特定退職金共済は、受託金融機関が破綻すると給付がカットされる。
千代田生命の破綻で被害を受けた中小企業

総務部長 特定退職金共済というものがあるそうですが、どんな制度ですか?

北見 中小企業退職金共済は国が行っていますが、そのほかに商工会議所とか商工会とか、一部の自治体等が行っているものとして特定退職金共済があります。基本的には中小企業退職金共済と類似した制度です。

総務部長 安全性という点は大丈夫ですか?

北見 うーん、何ともいえません。現に破綻した事例があるからです。千代田生命という会社を覚えておられますか?

総務部長 聞いたことがありますが、どこでしたかね?

北見 今はなき生命保険会社です。ウィキペディアで調べると次のように解説しています。

千代田生命保険相互会社は、かつて存在した日本の生命保険会社。2000年に経営破綻し、現在はAIGスター生命保険株式会社へ事業承継されて営業している。

総務部長 そこが特定退職金共済制度と、何の関係があるのですか?

北見 関係が大ありです。この千代田生命は、全国の商工会と組んでいました。商工会は全国各地にありますが、それが都道府県単位でまとまって「県商工会連合会」を組織しています。その「県商工会連合会」は特定退職金共済制度を実施していましたが、それを多く受託していた金融機関が千代田生命でした。千代田生命が破綻をしたら、加入していた企業の社員は退職金をカットされました。

総務部長 どのくらいカットされたのですか?

北見 私の記憶では1割カットでした。事業主が怒って解約を申し出ると、更に15%だったように覚えています。

総務部長 おかしな話ですね。なぜ退職金の共済を契約していた企業側に責任が回されたのですか?

北見 本当におかしな話でした。特定退職金共済の契約当事者は「県商工会連合会と契約企業」でした。その加入申し込み用紙をみても、「千代田生命」という文字は一切記載されていませんでした。だから契約者にとっては、千代田生命の破綻など他人事であったはずです。「県商工会連合会は、受託金融機関が破綻したから退職金を減額できる」という理屈が通るはずもなかったのです。それなのに一方的に横車を押してきました。

総務部長 ヒドイ話ですね。

北見 本当に理不尽です。あの責任の所在はどこにいったのでしょうか?

総務部長 ということは、現在、商工会議所や商工会が行っている特定退職金共済という制度も安心とは言い切れないのですね?

北見 その通りです。契約者は、その受託先の金融機関もみる必要があります。

総務部長 東京商工会議所などはどうでしょうか?

北見 東京商工会議所のホームページを見ると、次のような受託割合になっています。(平成24年1月7日時点)
 アクサ生命70%、日本生命8%、住友生命9%、第一生命7%等

総務部長 大丈夫でしょうか?

北見 わかりません。

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